ヒノキの産地としても名高い三重県尾鷲市。 2013年に松阪の製材所での修行を終え、尾鷲市に戻ってきた製材店の3代目が働く製材所「カネタ産業 田中木材店」。 かつては尾鷲市内に60軒軒以上もあった製材所は、今では数件を残すだけとなりました。そんな林業の町・ヒノキの町の伝統を継ぐ、田中木材店3代目 田中俊輔さんが手掛ける新商品をご紹介します。
❝僕らの取引先は大工さんに工務店さんに木材市場。製材所の仕事って、直接木と暮らす「お客さん」の顔が見れないんですよね。 だから製材店にも一般のお客さんはほとんど来ない。 普通の人が、使う木を選びに製材店にやってくる。そんな風景を作りたかったんです。
山から木を伐りだし、製材する。製材された柱や板材は、家や神社などの建築用資材として大工さんや工務店が購入します。田中さん自身、製材所の仕事に就いてから「お客さん」とのやり取りをしたこともなかったそうだ。
❝たまたま店舗のリノベーションをやってる友人が製材所に遊びに来て、うちの倉庫に並んだヒノキの板を見て買って帰ったんです。 たくさんの板の中から、楽しそうに自分で選んで。この風景が、本当に嬉しくて。
購入したのは尾鷲市内で店リノベーションに取り組む方でした。カウンターのテーブルとしてヒノキの板を購入。製材所に並ぶたくさんの板材から「一枚」を選んだ理由は、板の曲がり具合と節の風合いが決めてとなりました。
❝曲がった板や癖の強い節はプロの大工さんは使わないんです。でも、その「板の個性」が選ばれる決め手になった。もしかしたら、今まで価値が低いと思っていたものには違う価値があるんじゃないかと思ったんです。
2015年2月、田中さんは友人らとともに東京の恵比寿で開催されたマルシェに出店。東京に製材店の店先を再現し、初めて「お客さん」を相手に木材を販売。新鮮なトマトやキュウリが並ぶマルシェの一角に出現したヒノキの板は東京で見事に売れました。尾鷲ヒノキ独特の強い香りと木の肌触り、何よりたくさん並ぶ木の板から「自分で選んで買う」。 田中さんの新しい商品のアイデアはここから生まれました。
❝家族が集う、大切な人が集う食卓のテーブル。デザインや大きさで選ぶのではなく、その天板から選んでもらいたい…と考えたんです。板材はそれぞれの木が積み重ねてきた時間によって節や曲がり方が違うんです。節も曲がりも傷も、その板の個性。世界にたった一枚しかないテーブルを、自分で選んだ板で作ってもらえるような、テーブルのDIYキット「ヒノキノイタ」が出来たんです。
【ヒノキノツクエ・DIY】 □商品名 :ヒノキノツクエ・DIY □販売価格:50,000円(税別) □商品size:天板-縦:120㎝~180㎝ 横:30㎝~70㎝ 鉄脚 高さ 65㎝(ハイテーブル)41㎝(ローテーブル) 商品は天板となるヒノキの板(2枚組)と鉄脚のセット。テーブルの天板となるヒノキの板は、素材そのものの節や曲がりなどお好みの板を加工。長さ、広さなどはセミオーダ―で対応可能。テーブルの脚は、鉄工所に特注した鉄脚を使用しており、ローテーブル・ハイテーブルと2種類の長さが用意されています。田中木材店で直接板をい選べるほか、インターネットでの対応も可能。
【お店の情報】 カネタ産業 田中木材店

きただまさき。Otona Master 兼 記者。
漁村の古民家、空き家をめぐる珍住ハンター。尾鷲の地元情報を中心にアップします。
得意ジャンル:グルメ・イベント・お店情報・住宅情報・DIY。
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